【家庭用蓄電システム】後悔する前に。導入の必要性は?太陽光発電は?【メリット・デメリット】
※この記事は「蓄電システムを導入させるための記事」ではありません。
私なりに調べた事実と見解を書いたものです。考え方や優先順位、価値観などはご家庭によって様々ですので、導入時はご自身で慎重に検討してください。
先日、我が家にも「蓄電システム導入」のセールスが来ました。我が家の屋根には売電のために太陽光パネルを設置済みですが、蓄電システムは予算の都合上導入を見送っていました。
今一度考え直す機会になったので、セールスのおじさんとお話をして聞いたことなどをもとに本当に導入すべきなのか?解説します。
我が家の場合
まず始めに我が家の話をします。不要なら読み飛ばしてください。
先日、蓄電システム設置のセールスが来ていろいろと説明を受けました。
結果、我が家は導入を見送ることにしました。
なぜか?金額に対する期待値(費用対効果)が折り合わなかったためです。我が家は太陽光パネルはすでに設置済みです。新築を立てる際に「売電することで電気代が節約できるのであれば…」という安易な考えで設置しました。蓄電池もできればつけたかったのですが予算オーバーで太陽光発電のみということになりました。
今思えばそのときにもっと考えておけばよかったと後悔しています。
その理由はこの記事を読んでもらえば分かると思います。
蓄電システム(家庭用蓄電池)とは
蓄電システムとは、住宅用の蓄電池のこと。あなたが持っているスマホに入っているものと変わりません。ただただ大きくなっただけのこと。電気を溜めたり使ったりするだけです。
アパートやマンションに住まわれている方からするとあまりなじみがないかもしれませんが、持ち家に太陽光パネルを設置していたり設置を検討している方にとっては蓄電システムもセットで検討することになります。
『売電』という仕組み・考え方
売電…「固定価格買取制度(FIT)」。再生可能エネルギーを電力会社が買い取ることを国が保証している制度ですね。
我が家は家を建てたとき、売電のために太陽光パネルを設置しました。可能であれば蓄電システムも同時に導入しようとしたのですが予算の都合上あきらめることにしました。
昼間に太陽光パネルが発電をして、使わない分の電力を電力会社に売ることで毎月売った分だけお金が振り込まれています。基本的に日中は家に誰もいないので発電した分はほぼ売ることになり、夕方~夜は電気代が安い時間帯のためお得に電気を使えるという考え方です。
太陽光パネルで発電した分を電力会社に売る。
できるだけ電気代が安い時間帯(夜間)に電気を使う。
『蓄電』という仕組み・考え方
蓄電システムを導入すると電気の使い方が変わります。
蓄電池なので電気を溜められます。「電気を溜められるってことは、太陽光で発電した電気を溜めるのか!」と思った人、残念。その使い方もできますがもっとお得な使い方はこうです。
電気代は昼間よりも夜間のほうが安く、売電単価と比べても夜間の使用料金のほうが安いです。なので蓄電池に溜めるのは夜間の安い電力。夜間に安く溜めておいて、昼間に使いたいときは蓄電池から使う。そうすれば一日中、夜間の電気代で過ごすことができるのです!
実は太陽光発電などしなくても蓄電システムがあればどんな家庭でも電気代を安くすることができるのです。
さらに太陽光で発電していれば、その分はそのまま売電できるなんて!
良いことずくめ!
電気代の安い夜間に電気を溜める。
昼間は蓄電システムからの電気で過ごし、太陽光で発電した分は売電。
導入した場合の3つのメリット
ここからはメリット・デメリットをご紹介します。
導入するならこの蓄電池
なお導入する蓄電池は次の「リチウムイオン蓄電システム LL3098HOS」を前提に話を進めます。この価格でここまで高機能な蓄電システムは他にないので、検討するならこの商品一択でしょう。
- 大容量(9.8kW)で4、5人家族でも安心
- 停電時、家のすべての電源が使える
- 停電時、エアコンやIH調理器も使える
- 10年保証
電気代が節約できる!
それでは本題。第一のメリットは上記の通り、電気代が大幅に節電できること。
蓄電システムを導入することでほぼ一日中、夜間電力で生活できるようになります。昼間に電気をよく使っているご家庭ほど節約できますが、ざっくり1/3~1/2ほどの削減効果が期待できます。詳しくは設置業者に見積もってもらってください。
太陽光パネルと一緒に設置されれば、昼間に発電した電力を売電することでより節約効果が得られます。
ちなみに容量の小さい蓄電池だと24時間分の電力を溜められないので意味がありません。導入時は大きめの蓄電池をご検討ください。
災害時でも停電しない!
このメリットも大きいですね。災害や停電時でも蓄電池に溜めた電力によって、復旧までいつもと同じ生活ができます。エアコンやIH調理器も使えるので、体育館や公民館に避難するよりも安心して不自由なく過ごすことができます。冷蔵庫を動かし続けられるのが一番うれしいですね。
蓄電システムによっては災害時に長期耐えられるほどの十分な容量が無かったり、特定のコンセントからしか電力を使えなかったりしますので要注意です。
太陽光パネルを最大限に活かす
重要なポイントです!
売電の契約があるうちは太陽光パネルで発電した余剰電力は売れます。
では契約が終わった10年後、余剰電力はどうなりますか?
蓄電システムがあれば蓄電池に溜められますが、蓄電システムが無ければ無償で電線に返すだけです。蓄電池が無いと、太陽光パネルの発電が無意味になるのです。
太陽光パネルのみ設置しているご家庭は蓄電システム導入を検討してください。
今から設置するご家庭は「太陽光発電+蓄電」をセットで導入してください。
落とし穴に気をつけろ!最大のデメリット
本当にメリットばかりなの?そんなことはありません。当然、デメリットはあります。ですがこの判断は非常に難しく、デメリットとメリットを天秤にかけて、導入するべきかどうかはご家庭でよく検討してください。
気を付けたほうがいいデメリットを以下に挙げます。
言わずもがな「価格」
蓄電システムの価格は工事費込みで200万~300万円が相場になっています。(※2021年現在)
例えば250万円を15年でローン(年利5%)を組んで返済していこうとすると月々24,000円ほど。どうですか?「え!?高くない?」と思いますよね?
おそらく皆さん電気代が10,000~15,000円ほどだと思いますので、蓄電池を導入して月々7,000円ほど節約できたとしても全然ペイできません。
経産省によると今後10年で電気代は1.7倍~2.3倍に上がると見込まれているようですが、電気代の節約効果が7,000円→14,000円になるとしてもやはり支払う金額のほうが大きいですよね。
ですが、蓄電システムの期待値は「節約」だけではありません。災害や停電が起こったときに安心して暮らせるようにするためです。太陽光パネルで発電した余剰電力を溜めるためです。
電気代節約だけでなく「災害時の備え」と「太陽光パネルの有効活用」のために支払う金額だと思ってください。
見落としがちな「蓄電池の寿命」
もう一つ大事なデメリットです。
この蓄電池は10年保証がついています。つまり寿命は15~20年ほどということ。寿命がきたら使えなくなるわけではありませんが、15年もすれば電気を溜められる容量がおおよそ6割にまで減少します。
ローンを返済し終わった15年後に「蓄電池をどうするか?」とまた考えることになると思います。
これをどう捉えるか。しっかりと検討してください。
なお太陽光パネルの寿命は少なくとも30年以上と言われています。
本当に導入するべき?
我が家が導入を見送った理由
我が家は導入を見送りましたし、今後も蓄電池は導入する予定はありません。
理由は以下の通り。参考にしてください。
- 期待しているほど電気代を節約できない
- 災害への備えにかける費用に見合わない
- 寿命が来たらまた出費になりかねない
導入したほうがいい家庭
全ての家庭が導入しないほうが良いかというとそうではないと思います。
ここまで記事を読んでいただいてなんとなく感じているとは思いますが、蓄電システムの最大のメリットは「災害時の備え」です。
これにどれだけお金をかけられるか?がポイントとなるわけです。
- 停電や災害が心配
- 災害が起きてもいつもと同じ生活を続けたい
- 避難場所よりも家で過ごしたい
- 電気が少しでも止まると困る
- 100万~200万円かけてでも災害への備えを万全にしておきたい
こういったことをお考えであれば導入を前向きに検討したほうがいいと思います。
冒頭でも書いたように考え方や優先順位、価値観などはご家庭によって様々ですので、ネット情報やセールスの言葉だけに流されず慎重に検討ください。
蓄電システム以外の選択肢
「災害への備え」は蓄電システムでなくても可能です。以下のアイテムであれば何百万もかけずとも最低限の備えとなるでしょう。
我が家はこれらを購入予定です。
発電機
災害時でも電気が使いたいのであれば、発電機があれば安心ですよね。デメリットは保管に場所をとる、騒音がうるさい、ガソリンが必要、屋内で使えない。といったところですが家庭用蓄電池を買うよりは断然安いです。
ポータブル電源
ソーラーパネル
ポータブル電源を充電するために使ったり、災害からの復旧が長引いたときでもソーラーパネルがあれば発電できるので安心です。晴れていないと効果を最大限に発揮できませんが、長時間の停電リスクを考えればあったほうがいいですね。
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